メッセージ - 物事がとんとん拍子に進む先は(創世記29:1-14)
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「ヤコブは旅を続けて、東方の人々の土地へ行った。」(創世記29:1)
ヤコブの旅の目的地は、東方のカランにいる伯父・ラバンの所で、そこを目指す理由は、伯父ラバンの娘の中から結婚相手を見つけるようにと、父イサクに命じられたからであった。(創世記28:2)
この東方の地、メソポタミア地方はかなり広大な土地で、初めて行くヤコブにとっては土地勘が無く、そこを探し出すのは、結構大変な事である。
彼はその地へ足を踏み入れた時、ふと見ると、井戸の傍らに羊の群れがいた。
そこの人々に聞いてみると、彼らはカランの羊飼いで、しかも、ラバンを知っていると言う。
さらには、ラバンの娘・ラケルが羊の群れを連れて来ている、というのだ。
恐ろしいまでにとんとん拍子、あまりに出来過ぎた導かれ方である。
かつて、アブラハムの老僕は、主人から不可能とも思われる条件で嫁探しを仰せ付けられた時、心配したり祈ったりした。
しかしヤコブは、心配した様子も祈った様子もなく、実にあっさりと、伯父の娘ラケルの所へと導かれたのだ。
ヤコブは、ラバンの娘ラケルがいる、と聞くと、彼らに言った。
「まだこんなに日は高いし、家畜を集める時でもない。羊に水を飲ませて、もう一度草を食べさせに行ったらどうですか。」(7節)
その羊飼いたちには、どこかに行っていてもらっていて、自分はラケルと二人きりになりたかったのかもしれない。
そうこうしている内に、ラケル自身が、群れを伴ってヤコブの前に姿をあらわした。
ヤコブは彼女を見ると立ち上がり、大きな石を転がしてラバンの羊に水を飲ませ、ラケルに口づけし、そして大声で泣いた。
70歳を超えているというのに、実に大した腕力、大したプロモーションであるが、彼はその歳までずっと独身を貫いて来たのだ。
主がその旅を成功させ、確実に彼女の所へと導き、いよいよ出会えた彼女が、姿も顔立ちも美しい女性だったので、彼は感慨深さに大声で泣いたのだろう。
私達も、主に拠り頼んでいるなら、しっかり確実に、御心の所へと導かれて行くのである。
ただし、ヤコブの場合、そこまでとんとん拍子に主が導かれたのは、長年の寂しさが慰められる為ではないし、単なるハッピーな生活を彼がこれからずっと続けるためではない。
彼のずる賢さが取り扱われ、過剰な力が剥ぎ取られ、主の前に練られるためであり、その精錬のための期間が、この時、始まったのである。
私達も、主が導かれる先は、私達にとって必ずしも心地良い事ばかりが待っているとは、限らない。
主の御前に、もっと砕かれもっと練られるが為に、とんとん拍子に導かれる、という事だって有りうる。
そのような時は、じたばたせず、全能者の御手の下にへりくだり、主のなされるがままにするのが一番楽な過ごし方であるが、あくまで自己主張を続けるなら、苦しみの期間を増し加えるだけである。
ヤコブは自分の身の上をラケルに明かし、ラバンは、彼が訪ねて来た事を喜んだ。
このカランの地は、神の約束の地からは遠く離れた、サタンが支配するような地であり、ラバンはその中でも、ずる賢い事にかなり長けた人物である。
ヤコブはやがて、そのサタンが支配するような地から妻子を得、多くの富を増し加え、やがてそれらを携えて故郷に戻る。
私達の中にも、主の前に余計な「ずる賢さ」や「過剰な力」などがあるのであれば、主は、私達よりも2倍も3倍も上手なラバンを送り込み、私達を練るのだ。
そうして取り扱われ、練り聖められて行く内に、妻子や多くの富を自分のものとし、サタンの王国から多くを分捕って、天の故郷へと凱旋するのである。