メッセージ - 地に向けられたはしご(創世記28:10-22)
礼拝説教メッセージ音声:地に向けられたはしご(創世記28:10-22):右クリックで保存
ヤコブは住み慣れたベエル・シェバを立ち、たった一人、ハランへと旅をしていた。
兄にいのちを狙われている身であり、いつ母リベカのいる父の家に戻れるとも分からない。
心細く、寂しく、きっと家族からだけでなく、主からも遠く離れてしまったかのような心境であったろう。
そんな彼の所に、主は、圧倒的な臨在をもって現れて下さる。
「彼は夢を見た。先端が天まで達する階段(はしご)が地に向かって伸びており、しかも、神の御使いたちがそれを上ったり下ったりしていた。」(創世記28:12)
普通、はしごは低い方から高い方へ架けるものだが、面白い事に、このはしごは天から地に向かって伸ばされている。
天と地は絶望的に離れており、人は決して神の座に登りつめる事は出来ないし、また、そのような試みをした者たちが建てたバベル塔は、崩されてしまった。
しかし、このはしごは、天から地の方へ、ヤコブが横たわっている傍まで差し伸べられ、神の御使いたちが、それを上ったり下ったりしていた。
この不思議なはしごは、一体何だろうか。
主イエスはナタナエルに言われた。
「はっきり言っておく。天が開け、神の天使たちが人の子の上に昇り降りするのを、あなたがたは見ることになる。」(ヨハネ1:51)
この天から地へと架けられたはしごは、イエス・キリストを表している。
神と人との間の仲介者は唯一であって、それは人としてのキリスト・イエスであり(1テモテ2:5)、この御方を通してでなければ、誰も父なる神様の御元に行く事は出来ず(ヨハネ14:6)、高き天から降り人となられたお方は、唯一キリストである。
『見よ、主が傍らに立って言われた。「わたしは、あなたの父祖アブラハムの神、イサクの神、主である。あなたが今横たわっているこの土地を、あなたとあなたの”子孫”に与える。あなたの”子孫”は大地の砂粒のように多くなり、西へ、東へ、北へ、南へと広がっていくであろう。地上の氏族はすべて、あなたとあなたの”子孫”によって祝福に入る。見よ、わたしはあなたと共にいる。あなたがどこへ行っても、わたしはあなたを守り、必ずこの土地に連れ帰る。わたしは、あなたに約束したことを果たすまで決して見捨てない。」』(創世記28:13-15)
全世界は、この「子孫」であるキリストによって祝福に入ると、主は預言されている。
主は、アダムとエバが堕落した時、一人の「女の子孫」によってサタンの頭が砕かれる事を預言していたが、この「女の子孫」こそ、アダム以来ずっと人類が待ち望んで来たメシヤであり、アブラハム、イサク、ヤコブにも示された、神と人との架け橋であり、天と地とを結ぶはしごとなって人類を救って下さるイエス・キリストである。
ヤコブは、主が共におられたことに恐れおののき、自分が枕にした石に油を注いで記念の石とし、その場所をベテルと呼んだ。
彼はその後、色々な困難が遭った時でも、このベテルでの出来事を思い出した事だろう。
ヤコブが単身、遠国に身を潜めるなくてはならなくなったのは、彼自身の身から出た錆であったにもかかわらず、主は憐れみ深く、そんな彼に直接現れて下さり「わたしはあなたと共にいる」「どこへ行ってもあなたを守り、必ず連れ帰る」「わたしは決して見捨てない」と言って下さった事は、なんと深い慰めであろう。
それと同じ慰めは、私達にも与えられている。
私達も、ヤコブのように罪深く、自分の身から出た錆によって苦しむような事もあるのに、イエスは苦しんでいる私達に向けてはしごを渡し、神と人との仲保者となって、救いへと導こうとしておられる。
インマヌエルなる主は、いつも私達と共におられ、「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。」と言って下さった。(マタイ28:20)
ヤコブはそれまで、主のご性質をあまり知らなかったが、今回の事で、さらに一歩深く知ることが出来るようになった。
私達も日々、主の良きご性質をさらに知って行き、そして、知って行く程に豊かな人生へと造り替えられて行くのである。
「どうか、わたしたちの主イエス・キリストの神、栄光の源である御父が、あなたがたに知恵と啓示との霊を与え、神を深く知ることができるようにし、心の目を開いてくださるように。そして、神の招きによってどのような希望が与えられているか、聖なる者たちの受け継ぐものがどれほど豊かな栄光に輝いているか悟らせてくださるように。
また、わたしたち信仰者に対して絶大な働きをなさる神の力が、どれほど大きなものであるか、悟らせてくださるように。」(エペソ1:17-19)