メッセージ - マハナイム - 二つの陣営(創世記32:1-5)
礼拝説教メッセージ音声:マハナイム - 二つの陣営(創世記32:1-5):右クリックで保存
ラバンと無事決別できたヤコブだが、彼には乗り越えるべきもう一つの関門があった。
それは、彼に殺意を抱いていた、兄エサウである。
道々彼は、エサウはまだ殺意を抱いているだろうか、どのようにして父の家へ帰って平和に過ごせるだろうか、と、心配していた。
そんな彼の前に、御使い達が現れた。
『ヤコブは彼らを見て、「これは神の陣営です」と言って、その所の名をマハナイムと名づけた。』(創世記32:2)
マハナイムという名は、マハネ(陣営)の双数形で「二つの陣営」をあらわす。
ヤコブが導いてきた「自分の陣営」の前に、「御使い達の陣営」も現れ、主が、天の軍勢によって自分達の行く道を守って下さる事を示され、ヤコブは喜んだ。
雅歌書6:13に出てくる「マハナイムの舞」は、ヤコブが天の陣営にも守られている事を喜んだように、自分達も主に守られている事を喜び、御使い達のように美しく優雅に舞う踊りであると言われている。
私達キリスト者は、救いを受け継ぐ事が約束された者達で、御使いたちが仕えている。
「御使たちはすべて仕える霊であって、救を受け継ぐべき人々に奉仕するため、つかわされたものではないか。」(ヘブル1:14)
主イエスの名にあって礼拝し、賛美する一陣の集まりには、御使い達も共に集まり、地においてと天においての、二つの陣営があるのである。
イエス様が生まれた時にも、夜番をしていた羊飼い達に、天の軍勢が現れ、彼らに喜びの良き知らせが告げられた。
『御使は言った、「恐れるな。見よ、すべての民に与えられる大きな喜びを、あなたがたに伝える。きょうダビデの町に、あなたがたのために救主がお生れになった。このかたこそ主なるキリストである。あなたがたは、幼な子が布にくるまって飼葉おけの中に寝かしてあるのを見るであろう。それが、あなたがたに与えられるしるしである」。
するとたちまち、おびただしい天の軍勢が現れ、御使と一緒になって神をさんびして言った、「いと高きところでは、神に栄光があるように、地の上では、み心にかなう人々に平和があるように」。』(ルカ2:8-14)
羊飼い達は当時、住民登録にも呼ばれない程、卑しく、貧しい、どうでも良い人達だったが、御使い達が軍勢を従えて現れたのは、そんな彼らの所にであった。
主は、不安と恐れの暗闇の下で震えている私達に、天の軍勢をもって現れ、救いの良き知らせを、もたらして下さるのだ。
ダビデもまた、アビメレクの前で狂った様を装って追い出されてしまった、恥ずかしさと屈辱の極みの時に、詩篇34篇を書いた。
『主の使は主を恐れる者のまわりに陣をしいて彼らを助けられる。 主の恵みふかきことを味わい知れ、主に寄り頼む人はさいわいである。 主の聖徒よ、主を恐れよ、主を恐れる者には乏しいことがないからである。 若きししは乏しくなって飢えることがある。しかし主を求める者は良き物に欠けることはない。 』(詩篇34:7-9)
これはとても、気違いを装って追い出された者が、その時書いたとは思えない程の、素晴らしい信仰告白である。
主は確かに、弱く惨めでありながらも、主を呼び求める者に御使いを遣わし、陣を張り、守って下さるのだ。
事実、ダビデの信仰どおり、彼は確かにあらゆる災いから守られ、やがてダビデの敵は滅ぼされ、彼はイスラエル歴史上で最も偉大な王となった。
御使いの陣営が現れたヤコブ、ダビデ、羊飼い達、この三者に共通している事がある。
それは、三者とも羊飼いであり、しかも、弱く頼りない羊飼いであった事。
私達も、イエスの愛された羊である兄弟姉妹の面倒を見、養うのであれば、私達も羊飼いである。
羊飼いは何も、10匹や100匹面倒見なくてはならない訳ではない。面倒を見るのが、たとえ一匹であっても、立派な羊飼いである。
皆さんの周りに、イエス様の愛された羊が一匹でもおり、その羊がが迷い出たり、弱っていたりした時、探し出してイエス様の下に連れてきたり、助けてあげたりしたのなら、あなたは立派な羊飼いである。
そして、羊飼いたる資格は「イエス様を愛します」という告白である。
『イエスは三度目に言われた、「ヨハネの子シモンよ、わたしを愛するか」。ペテロは「わたしを愛するか」とイエスが三度も言われたので、心をいためてイエスに言った、「主よ、あなたはすべてをご存じです。わたしがあなたを愛していることは、おわかりになっています」。イエスは彼に言われた、「わたしの羊を養いなさい。』(ヨハネ 21:17)
主イエス様は、ご自身を愛していると告白する者に、飼うべき羊を任せられ、そして、羊飼い自信が弱く惨めな心になってしまった時には、天の軍勢を送って下さり、救いのおとずれを知らせに来て下さるのである。
しっかりイエス様を愛し、イエス様の羊を飼っているのであれば、恐れることは無い。
たとい地上の軍勢は弱くとも、第二の陣営、天の軍勢が共におり、味方して下さるからである。