メッセージ - らい病 - ツァラアト(レビ記13:1-8)
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口語訳や、新改訳第二版で「らい病」と訳されている言葉は、新共同訳では「重い皮膚」、新改訳第三版では、そのままヘブライ語読みの「ツァラアト」と訳されており、レビ記13章は、この「ツァラアト」についてのおしえである。
なぜこんなに訳のバリエーションがあるのか。
それは、日本語で「らい病」と言う時、「ハンセン氏病」という一つの病を意味しているが、聖書に出てくるこのヘブライ語「ツァラアト」は、もっと広範な意味を含み(湿疹、かびなど、ユダヤ教口伝「ミシュナー」では最大72種類もある)、日本語の「らい病」という言葉では収まりきれないためであり、そしてまた、「らい病」という言葉には、その病にまつわる人の受けてきた差別と苦しみを彷彿させるものがあるためである。
ツァラアトというヘブライ語には「崩壊する」「打ちくだく」の意味があり、レビ記以外の箇所でこの言葉が出てくる時は、大体、神の御手によって打たれる事を意味している。
その一例が、ウジヤ王(2歴代誌26章)である。
ウジヤ王は、最初の内は主を恐れる良い王で、祝福され、強くなったが、彼は強くなるにつれて高ぶり、その身を滅ぼすような事をした。
『彼はその神、主にむかって罪を犯し、主の宮にはいって香の祭壇の上に香をたこうとした。その時、祭司アザリヤは主の祭司である勇士八十人を率いて、彼のあとに従ってはいり、ウジヤ王を引き止めて言った、「ウジヤよ、主に香をたくことはあなたのなすべきことではなく、ただアロンの子孫で、香をたくために清められた祭司たちのすることです。すぐ聖所から出なさい。あなたは罪を犯しました。あなたは主なる神から栄えを得ることはできません」。
するとウジヤは怒りを発し、香炉を手にとって香をたこうとしたが、彼が祭司に向かって怒りを発している間に、らい病がその額に起った。時に彼は主の宮で祭司たちの前、香の祭壇のかたわらにいた。祭司の長アザリヤおよびすべての祭司たちが彼を見ると、彼の額にらい病が生じていたので、急いで彼をそこから追い出した。彼自身もまた主に撃たれたことを知って、急いで出て行った。ウジヤ王は、死ぬ日までらい病人であった。彼はらい病人であったので、離れ殿に住んだ。主の宮から断たれたからである。』(2歴代誌26:17-21)
「ツァラアト」は、私達の肉の奥底に住んでいる、死に至る病、すなわち、「内住の罪」をよく表している。
この病は、伝染するものであり、それに犯されている事が発覚した場合は、人々から離れる事が定まっている。
この病は、皮膚の奥底に潜伏し、表面化しない事も多い。
そのため、祭司が一見してそれと判断できない場合は、七日という期間、その人を世間から隔離して様子見する。(レビ記13:1-8)
ウジヤ王の場合、「高ぶり」という罪が、ある時までは隠れていて、ある時に表面化したが、同じように、私達の罪も、ある時まで表面化せずに潜伏する事がある。
普段は巧妙に隠れ、何か自分の気に入らない事があるととたんに噴出するような、表面化しない罪を隠し持つ人は、本来、祭司から「汚れている」と宣言され、神の民から隔離せねばならないのだ。
私達が、この霊的なツァラアトに罹っていると自覚した時、誰か、人のところや、集団の中に行くべきでない。むしろ人から自らを隔離するべきである。
なぜなら、それは伝染性の汚れであり、行った相手に、その汚れた思いをべっとり付着させ、汚れを集団の中へと拡大感染させてしまうからだ。
私達を、この霊的なツァラアトから清め救って下さるお方は、唯一、大祭司なるイエスキリストのみである。
『ひとりのらい病人がイエスのところにきて、ひれ伏して言った、「主よ、みこころでしたら(if You are willing)、きよめていただけるのですが」。イエスは手を伸ばして、彼にさわり、「そうしてあげよう(I am willing)、きよくなれ」と言われた。すると、らい病は直ちにきよめられた。』(マタイ8:2-3)
私達は自ら、この霊的病から清めていただく意志をイエス様に表明し、取り除いていただくよう、願う必要がある。その意志があるなら、主は、喜んで(willing)その罪をきよめ、癒して下さるのだ。