メッセージ - 第四の士師・女預言者デボラとバラク(士師記4:1-10)
礼拝説教メッセージ音声:第四の士師・女預言者デボラとバラク(士師記4:1-10):右クリックで保存
『エホデが死んだ後、イスラエルの人々がまた主の前に悪をおこなったので、主は、ハゾルで世を治めていたカナンの王ヤビンの手に彼らを売りわたされた。ヤビンの軍勢の長はハロセテ・ゴイムに住んでいたシセラであった。彼は鉄の戦車九百両をもち、二十年の間イスラエルの人々を激しくしえたげたので、イスラエルの人々は主に向かって呼ばわった。』(士師記4:1-3)
士師エフデが死んだ後、イスラエルはまたも懲りずに悪を行い、主はイスラエルを敵の手に「売り渡された」。
それも、鉄の戦車九百両を擁する強力な軍をもって、二十年も、激しく虐げられていた。
毎回の事であるが、主がそのようにイスラエルを敵の手に渡すのは、イスラエルを懲らしめ、こんなに酷い目に遭うくらいなら、主を捨てるのではなかった、と後悔させ、主とともに歩む幸いな生活へと立ち返らせるためである。
今回主が用いられた敵は、イスラエルの北方、カナンの、ハゾルの王ヤビンである。
実は、これと同名の王がヨシュア記にも登場する。
ヨシュアの時代のハゾルの王ヤビンは、カナン地方の王達に使者を遣わし、浜辺の砂のように非常に多くの歩兵や馬、戦車を率いて、ヨシュアの軍に立ち向かった。(ヨシュア記11:1-4)
当時のハゾルは、周辺の王国の首都で(ヨシュア記11:10)、ヤビンは、それらの国々をまとめる代表的な王だったが、主はヨシュアに言われた。
「彼らのゆえに恐れてはならない。あすの今ごろ、わたしは彼らを皆イスラエルに渡して、ことごとく殺させるであろう。あなたは彼らの馬の足の筋を切り、戦車を火で焼かなければならない。」(ヨシュア記11:6)
ヨシュアは命じられた通りに出て行き、圧勝し、多くの戦車を火で焼き、ハゾルの町は滅ぼして火で焼いた。(同9-11節)
百年以上経ったこの士師の時代、それと同名の町・同名の王が、なぜか、よみがえっている。
きっと、昔ヨシュアに叩き尽くされたカナン人の生き残りが復讐心に燃え、イスラエルが霊的な怠慢に陥っている間に力をつけ、滅ぼされたハゾルの町を復興し、鉄の戦車も九百両造り上げ、そして、昔滅ぼされた王の名を掲げ、リベンジを狙ったのだろう。
私達も同じ過ちに陥らないよう、気をつけるべきだ。
私達がずっと前に、主にあって滅ぼし尽くしたと思っていた邪悪な性質や悪習慣などが、信仰の怠慢を続けた結果、いつのまにかよみがえっていて、力をつけ、やがては鉄の戦車九百両のように強力になってしまい、手が付けられなくなってしまう、というような事は、大いにありうる。
私達の肉の内には、御霊にあって常に制圧し続けなくてはならない「罪の性質」があって、御霊によって歩む事を怠っていると、すぐにそれは芽生えて来るからだ。
だから私達は、いつも、霊的な怠慢に陥らないよう気をつけていなければならない。
『そのころラピドテの妻、女預言者デボラがイスラエルをさばいていた。彼女はエフライムの山地のラマとベテルの間にあるデボラのしゅろの木の下に座し、イスラエルの人々は彼女のもとに上ってきて、さばきをうけた。』(士師記4:4-5)
イスラエル四番目の士師(さばきつかさ)は、デボラという女預言者である。
彼女は、エフデのように戦闘によってではなく、神の御言葉を伝える事によって、イスラエルをさばいていた。
『デボラは人をつかわして、ナフタリのケデシからアビノアムの子バラクを招いて言った、「イスラエルの神、主はあなたに、こう命じられるではありませんか、『ナフタリの部族とゼブルンの部族から一万人を率い、行って、タボル山に陣をしけ。わたしはヤビンの軍勢の長シセラとその戦車と軍隊とをキション川に引き寄せて、あなたに出あわせ、彼をあなたの手にわたすであろう』」。』(士師記4:6-7)
デボラがバラクに「主はこう命じられておられましたよね」と、問いかけ口調で話している所を見ると、彼は、彼女と会う前から既に主から戦うようにと示されていたのかもしれない。
御言葉が示されたのであれば、そのまま服従する、というのが正しい対応であるが、彼はそうではなかった。
『バラクは彼女に言った、「あなたがもし一緒に行ってくだされば、わたしは行きます。しかし、一緒に行ってくださらないならば、行きません」。』(士師記4:8)
逆に言えば、この女預言者デボラが一緒に行ってくれないなら、「行って戦え」という主の御言葉には従いません、という事である。
彼はこの時、目に見えない主の約束より、目に見える女預言者のほうを頼っていたわけである。
その結果、彼本人が獲得するはずだった栄誉は、取り上げられてしまう。
『デボラは言った、「必ずあなたと一緒に行きます。しかしあなたは今行く道では誉を得ないでしょう。主はシセラを女の手にわたされるからです」。デボラは立ってバラクと一緒にケデシに行った。バラクはゼブルンとナフタリをケデシに呼び集め、一万人を従えて上った。デボラも彼と共に上った。』(士師記4:9-10)
彼は、主よりも女預言者のほうに頼りを置いた結果、彼に与えられる筈の栄誉は、女の手に渡されてしまったのだ。
私達は、人を見て自分の出入りを判断する者ではなく、ただ主の御言葉に信頼して行くものでありたい。