メッセージ - 異邦の王との共同作業により進められた神殿建設(1列王記5:1-18)
異邦の王との共同作業により進められた神殿建設(1列王記5:1-18)
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- 執筆 :
- pastor 2015-12-23 23:40
異邦の王との共同作業により進められた神殿建設(1列王記5:1-18)
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『さてツロの王ヒラムは、ソロモンが油を注がれ、その父に代って、王となったのを聞いて、家来をソロモンにつかわした。ヒラムは常にダビデを愛したからである。』(1列王記5:1)
5章には、神殿建設の準備がいかに進められて行ったかが記されている。
その重要な役割を担ったのが、この、ダビデの代から親交のあったツロという国の王ヒラムである。
ツロはガリラヤ湖北西の海沿いにあり、古来より海洋貿易で栄えた。
ソロモン王が建築したエルサレム神殿建設の素材は、主に、このツロからのものであった。
神の民イスラエルの最も聖なる建造物の材料が、異邦の国に由来する、というのは、実に興味深い。
神であられる主は実に、異邦人をも含めた、全世界の主なのである。
『そこでソロモンはヒラムに人をつかわして言った、「あなたの知られるとおり、父ダビデはその周囲にあった敵との戦いのゆえに、彼の神、主の名のために宮を建てることができず、主が彼らをその足の裏の下に置かれるのを待ちました。ところが今わが神、主はわたしに四方の太平を賜わって、敵もなく、災もなくなったので、主が父ダビデに『おまえに代って、おまえの位に、わたしがつかせるおまえの子、その人がわが名のために宮を建てるであろう』と言われたように、
わが神、主の名のために宮を建てようと思います。それゆえ、あなたは命令を下して、レバノンの香柏をわたしのために切り出させてください。わたしのしもべたちをあなたのしもべたちと一緒に働かせます。またわたしはすべてあなたのおっしゃるとおり、あなたのしもべたちの賃銀をあなたに払います。あなたの知られるとおり、わたしたちのうちにはシドンびとのように木を切るに巧みな人がないからです」。』(1列王記5:2-6)
ソロモンはヒラムに、神殿建設のために必要な杉材を輸入したい旨と、その見返りに、望むものは何でも支払う事を申し出たが、彼の申し出の中には、「主(エホバ)」の御名が、頻繁に用いられている。
私達も、主にあって祝福されている事、そして主から知恵が与えられている事を、積極的に世の人にあかしして行くべきであり、そして、彼らも主の礼拝を建て上げるために、主の働きに参加するよう申し出るべきである。
『ヒラムはソロモンの言葉を聞いて大いに喜び、「きょう、主はあがむべきかな。主はこのおびただしい民を治める賢い子をダビデに賜わった」と言った。』(1列王記5:7)
ソロモンのこの申し出に、異邦の王ヒラムは喜び、主(エホバ)の御名を誉め称えた。
これは、ソロモンが主を正しくあかしした故だ。
私達も正しく主の御力と栄光と、そして主が為してくださったあらゆる良き事を人々にあかしする時、人々は喜びをもって、私達と交わりを持ちたいと願うようになるのだ。
『そしてヒラムはソロモンに人をつかわして言った、「わたしはあなたが申しおくられたことを聞きました。香柏の材木と、いとすぎの材木については、すべてお望みのようにいたします。わたしのしもべどもにそれをレバノンから海に運びおろさせましょう。わたしはそれをいかだに組んで、海路、あなたの指示される場所まで送り、そこでそれをくずしましょう。あなたはそれを受け取ってください。また、あなたはわたしの家のために食物を供給して、わたしの望みをかなえてください」。』(1列王記5:8-9)
この異邦の王は、豊かに恵みを下さる主から祝福を受けたソロモンと親交を持つ事が出来る事を、そして、その偉大なる主の事業に共に参加できる事を、とても喜び、ソロモンが受けた莫大な恩恵が、自分達の中に入ってくる事を喜んでいる。
神の民であるキリスト者は、世と分断して生きるべきではない。
主から祝福を受けたキリスト者は、その与えられた祝福を世へと流し出して行き、世も、私達を通して祝福の元なる主に繋げていくべきものなのだ。
『こうしてヒラムはソロモンにすべて望みのように香柏の材木と、いとすぎの材木を与えた。またソロモンはヒラムにその家の食物として小麦二万コルを与え、またオリブをつぶして取った油二万コルを与えた。このようにソロモンは年々ヒラムに与えた。主は約束されたようにソロモンに知恵を賜わった。またヒラムとソロモンの間は平和であって、彼らふたりは条約を結んだ。』(1列王記5:10-12)
1コルは約220リットルだから、その年間に輸出した量はかなり膨大である。
前章でも見た通り、ソロモンの家で消費される小麦や牛、羊は莫大な量であったが、しかしそれでも民は重税で苦しんだのではなく、それだけ貢を収めてなお平和に飲み食いして楽しんだのだ。
民が重い取り立てで苦しみ、王だけがふんだんに飲み食いするとするなら、ただの暴君であるが、ソロモンが健全な信仰に留まっていた時は、民も王も主の祝福で豊かに潤っていたのだ。
こうして主が賜った有り余った富みによって、異邦の杉材を輸入し、そうして神殿が建てられていった。
『ソロモン王はイスラエルの全地から強制的に労働者を徴募した。その徴募人員は三万人であった。ソロモンは彼らを一か月交代に一万人ずつレバノンにつかわした。すなわち一か月レバノンに、二か月家にあり、アドニラムは徴募の監督であった。・・・王は命じて大きい高価な石を切り出させ、切り石をもって宮の基をすえさせた。こうしてソロモンの建築者と、ヒラムの建築者およびゲバルびとは石を切り、材木と石とを宮を建てるために備えた。』(1列王記5:13-18)
木材や石材を切ったり運んだりするのは、確かに重労働であるが、しかし労働条件はなんと、3ヶ月ローテーションの中で1ヶ月だけ働き、後の2ヶ月は休む、というものだ。
日本では、「年間休日数」として120日という数字はよく見るが、当時のイスラエルはそれが逆転して、「年間労働日数」が120日くらいで、それだけ働いても充分労働者の生活が賄われるほどの報酬が払われていたのだろう。
労働条件までも、祝福につぐ祝福である。
異邦人たちは、イスラエルの民が、主に祝福されている有様を見、彼らを祝福してくださった主を誉めたたえ、共に主の事業に参加した。
こうして主に祝福された神の民イスラエルの富は、世界へと流し出され、こうして、全世界に主の栄光と富が、主のおしえと救いが、さらに流れて行くはずだった。
ところがソロモンは途中から主から離れ、女達にそそのかされ、偶像礼拝へと落ちて行ってしまい、主の人類救済のご計画が果たされるのは、もっと後押しになってしまった。
人は何度、主を残念がらせただろう。
元々、ソロモンに祝福が与えられたきっかけは、彼が「聞き従う(シェマー)」心を求めたからだった。
私達は常に主に聞き従う心をキープし、ますます祝福されて行く者でありたい。