メッセージ - ソロモンの栄光が暗転してしまった原因 - 異邦の女(1列王記11:1-8)
ソロモンの栄光が暗転してしまった原因 - 異邦の女(1列王記11:1-8)
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- 執筆 :
- pastor 2016-2-6 22:27
ソロモンの栄光が暗転してしまった原因 - 異邦の女(1列王記11:1-8)
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前章までは、栄華を極めたソロモンの様子を見てきた。
実にきらびやかな有様だったが、所々で律法に対する妥協があり、また、その栄光に陰りも見せていたが、第一列王記は、この章を境に、暗転し、士師記のような混乱期に突入してしまう。
『ソロモン王は多くの外国の女を愛した。すなわちパロの娘、モアブびと、アンモンびと、エドムびと、シドンびと、ヘテびとの女を愛した。主はかつてこれらの国民について、イスラエルの人々に言われた、「あなたがたは彼らと交わってはならない。彼らもまたあなたがたと交わってはならない。彼らは必ずあなたがたの心を転じて彼らの神々に従わせるからである」。しかしソロモンは彼らを愛して離れなかった。』(1列王記11:1-2)
ソロモンの栄華が暗転してしまった決定的原因は、ずばり、女である。
本来交わってはならない女を愛して離れなかったため、彼女たちがソロモンの心を転じさせてしまったのだ。
それで彼は、あからさまに、主の忌み嫌う事をするようになってしまった。
男性は女性に夢中になると、引きずり込まれてしまうものであり、ひと度、夢中になってしまったなら、彼女と一緒なら地獄に行く事が分かってはいても、一緒に突入してしまうような所があるのだ。
最も強い男・サムソンはそうだったし、最も知能の高かったソロモンさえ、そうだった。
最初の人・アダムからして、そうだった。
ノアの時代、神の子達は人間の女の美しいのに惹かれてめとり、そうしてネフィリム(原意:伐採者。巨人、いじめっ子、暴君の意味)を生み出して行った故に、地は暴虐に溢れ、それで、あの大洪水が起きて、ひと度世界は滅んでしまったのである。(創世記6-8章)
一緒になってはならない女によって身を滅ぼしてしまうのは、腕力の強さや知能の高さも、一切、関係無い。
その誘惑からは、ただ「逃げる」以外には無いのだ。(創世記39:12、箴言5章、伝道者の書7:26)
『彼には王妃としての妻七百人、そばめ三百人があった。その妻たちが彼の心を転じたのである。』(1列王記11:3)
妻とそばめの数を合わせると、1000。すさまじい数である。
一日にひとりずつ交代交代で相対するとしても、次に会えるのは、999日後という事になる。
そんな事で妻は、また、生まれて来た子供達は、健全でいられるだろうか。
律法に書いてある。
『王となる人は・・・妻を多く持って心を、迷わしてはならない。また自分のために金銀を多くたくわえてはならない。』(17:16-17)
結婚とは、男と女の「ふたりが一つのからだとなる」事であって、決して、1001が1となる事ではない。
彼は妻を多くし、1000の女性達を不幸にし、さらに何人もの子供達は、父親不在の不健全な育ち方をしてしまった。
ソロモンは、そのように育った自分の子供たちを見て、こう言っている。
『わたしは日の下で労したすべての労苦を憎んだ。わたしの後に来る人にこれを残さなければならないからである。そして、その人が知者であるか、または愚者であるかは、だれが知り得よう。そうであるのに、その人が、日の下でわたしが労し、かつ知恵を働かしてなしたすべての労苦をつかさどることになるのだ。これもまた空である。それでわたしはふり返ってみて、日の下でわたしが労したすべての労苦について、望みを失った。』(伝道者の書2:18-21)
労して得たものを、自分の跡取りに継がせるのは、本来、喜びのはずである。
実際ダビデは、ソロモンに、神殿を建設するための莫大な金銀を遺して、喜んで譲渡した。
それなのにソロモンは、自分が労して蓄えたものを、跡取りに譲らなくてはならない事に「絶望」している。
よほど子供たちの中に、この莫大な財産を譲りってやりたい、と思える人が、いなかったのだろう。
『ソロモンが年老いた時、その妻たちが彼の心を転じて他の神々に従わせたので、彼の心は父ダビデの心のようには、その神、主に真実でなかった。これはソロモンがシドンびとの女神アシタロテに従い、アンモンびとの神である憎むべき者ミルコムに従ったからである。このようにソロモンは主の目の前に悪を行い、父ダビデのように全くは主に従わなかった。』(1列王記11:4-6)
ソロモンはなんと、異邦の神々に従ってしまった。
彼に富と栄誉と、知恵を豊かに与えて下さった、まことの神である主を捨てて。
実に、あってはならない事が起きた。
信仰無き女性に惑わされる事は、いかに恐ろしい事だろう。
『そしてソロモンはモアブの神である憎むべき者ケモシのために、またアンモンの人々の神である憎むべき者モレクのためにエルサレムの東の山に高き所を築いた。彼はまた外国のすべての妻たちのためにもそうしたので、彼女たちはその神々に香をたき、犠牲をささげた。』(1列王記11:7-8)
これらの神々が「憎むべき」者と呼ばれているのは、子供を火で焼いて捧げるような事を求める神だからだ。
ケモシュの前で子供を全焼のいけにえとしてささげたことが碑文に記されており,?列3:27のモアブの王の長男を全焼のいけにえとしてささげた記事も同様の慣例を示すものである
モレクの信者たちは,その手の上に子供をのせ,下から火をたいていけにえとした(レビ18:21).モレクの祭司たちは,太鼓をたたき続けて,子供の叫び声を消し,両親の悲しみを和らげたと言う。
また、エルサレムを西から南にかけて囲む谷をベン・ヒノムの谷(ゲー・ベン・ヒンノム)と呼ぶが、この谷のどこかにある小高い丘はトフェテと呼ばれ(?列23:10,エレ7:31)、モレクへの幼児犠牲礼拝が行われた。それはソロモンによって建てられたもので,異教徒の妻たちのために建てられたのかもしれない。また、この谷では火で汚物等を処理したところから,罪と災いの象徴となり,新約聖書の永遠の刑罰を受ける場所「ゲヘナ」という語が生れた.すなわち,ギリシヤ語ゲエンナはヘブル語ゲー・ヒッノームの転訛である.(新聖書辞典)
ソロモンは後に言っている。
『わたしは、その心が、わなと網のような女、その手が、かせのような女は、死よりも苦い者であることを見いだした。神を喜ばす者は彼女からのがれる。しかし罪びとは彼女に捕えられる。』(伝道者の書7:26)
1000人も妻や妾をむかえたソロモンには、その通りだろう。
結局、夢中になって良い女性は、唯一、結婚相手だけである。(箴言5:15-19)
未婚の男性は、将来、ひとつとなって添い遂げる相手について、また、将来築き上げていく家庭が健全な信仰の家庭となるよう、よくよく祈り求めるべきである。
サムソンは、自分の目に喜びとなる女に夢中になった結果、身を滅ぼしてしまった。
洪水前の神の子たちは、人の女の美しさにおびき寄せられた結果、大洪水を招いてしまった。
ソロモンは、妻とすべき女性を誤り、それを多くした結果、ゲヘナをつくってしまった。
アダムは、神の声を退けて妻の声に従った結果、全人類を死と呪いへ導いてしまった。
私達は、夢中になってしまいがちな対象について、そして、ひとつとなるべき伴侶について、よくよく気をつけるべきである。