メッセージ - してはならない飲み食いを止めなかったヤロブアム(1列王記13:20-34)
してはならない飲み食いを止めなかったヤロブアム(1列王記13:20-34)
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- 礼拝メッセージ説教音声配信 » 講解説教(旧約) » 1列王記
- 執筆 :
- pastor 2016-2-24 23:40
してはならない飲み食いを止めなかったヤロブアム(1列王記13:20-34)
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ヤロブアム王に対し、力あるわざを伴った預言をした南ユダ王国の預言者は、主の言葉を伝えたら、そのまま飲み食いしないで帰らなくてはならない、という事も、主から示されていた。
しかし彼は、北の老預言者の「主」の御名を用いた言葉に騙され、してはならなかった飲み食いを、してしまった。
『彼らが食卓についていたとき、主の言葉が、その人をつれて帰った預言者に臨んだので、彼はユダからきた神の人にむかい呼ばわって言った、「主はこう仰せられます、『あなたが主の言葉にそむき、あなたの神、主がお命じになった命令を守らず、引き返して、主があなたに、パンを食べてはならない、水を飲んではならない、と言われた場所でパンを食べ、水を飲んだゆえ、あなたの死体はあなたの先祖の墓に行かないであろう』」。』(1列王記13:20-22)
この老預言者は、自分で騙しておきながら、同じ口で、その事を言った。なんとも理不尽である。
この老預言者のように、自分の身勝手な願いを満たすために、人を「主」の御名を用いて不当な飲み食いへと導くなら、騙された人は、それによって滅びへと導かれてしまうのだ。
『こうしてその人は立ち去ったが、道でししが彼に会って彼を殺した。そしてその死体は道に捨てられ、ろばはそのかたわらに立ち、ししもまた死体のかたわらに立っていた。人々はそこをとおって、道に捨てられている死体と、死体のかたわらに立っているししを見て、かの老預言者の住んでいる町にきてそれを話した。』(1列王記13:24-25)
あの大活躍した預言者は、ライオンに殺されてしまった。
そして不思議な事に、血に飢えているはずのライオンは、その人を食べもせず、じっと立ったままで、しかも、ろばも逃げずにライオンと一緒に死体のそばに立っていたのだ。(28節)
動物界では、有り得ない事である。
そして、この預言者に起こった事は、実に理不尽な事である。
理不尽な、そして有り得ない事が起こると、人はそれに心を留めるものである。
『そこで預言者は神の人の死体を取りあげ、それをろばに載せて町に持ち帰り、悲しんでそれを葬った。すなわちその死体を自分の墓に納め、皆これがために「ああ、わが兄弟よ」と言って悲しんだ。』(1列王記13:29-30)
どうして、あの人が死ななければならないのだろう。
それに引き換え、どうしてあの人はのうのうと生きながらえているのだろう。
この世界は、そのような疑問でいっぱいである。
ただ、人の生死について、また、悪い行いへの報いの早い・遅いは、私達がとやかく口出しできる事ではない。
全世界の、全ての人間の最善をご存知である主は、全て主権をもって支配しておられるのだ。
歴史を支配される主の采配の見事さは、その時はすぐに分からなくても、何十年、何百年と後になってから分かるようになって、それに人は大いに驚かされるものである。
『彼はそれを葬って後、むすこたちに言った、「わたしが死んだ時は、神の人を葬った墓に葬り、わたしの骨を彼の骨のかたわらに納めなさい。彼が主の命によって、ベテルにある祭壇にむかい、またサマリヤの町々にある高き所のすべての家にむかって呼ばわった言葉は必ず成就するのです」。』(1列王記13:31-32)
実際、ライオンに殺された彼の預言は、300年後に成就する。
彼は、ヤロブアム王が構築した偶像の祭壇は、ヨシヤという名のダビデ王家の人によって破壊され、汚される事を預言していた。
事実、300年後にその通りになり、300年後、自分の行った事を言い当てられた事を知ったヨシヤは、その預言者の墓を守った。(2列王記23:15-20)
かの預言者の非業の死は、多くの人達に、納得の行かない事だったかもしれない。
しかし、彼の、そのような尋常でない事があったからこそ、その後に生まれ出る多くの預言者達には、強烈な教訓となったであろう。
主から与えられた言葉は、決して曲げてはならなず、そして示された事は断然、伝えるべきである、という事の。
そしてその後、この事件は300年もの間、彼が葬られたその墓と共に、ずっと語り継がれる事となった。
当時のヤロブアム王にも、この出来事はすぐに伝え知らされが、残念ながら彼は、この事から何ら教訓も得なかった。
『この事の後も、ヤラベアムはその悪い道を離れて立ち返ることをせず、また一般の民を、高き所の祭司に任命した。すなわち、だれでも好む者は、それを立てて高き所の祭司とした。この事はヤラベアムの家の罪となって、ついにこれを地のおもてから断ち滅ぼすようになった。』(1列王記13:33-34)
ヤロブアムは、偶像礼拝という、「戻ってはならない飲み食い」へと、戻ってしまい、その事は、彼に滅びをもたらすこととなる。
北の老預言者は、南の預言者に「してはならない飲み食い」へと促す「偽りの助言」によって滅びへと導いてしまったが、それと同じように、ヤロブアムも、人々に「偶像礼拝」という「してはならない飲み食い」へと導き、それによって多くの人々を滅びへと向かわせてしまった。
老預言者は、かの預言者に次のように言った。
『あなたが主の言葉にそむき、あなたの神、主がお命じになった命令を守らず、引き返して、主があなたに、パンを食べてはならない、水を飲んではならない、と言われた場所でパンを食べ、水を飲んだゆえ、あなたの死体はあなたの先祖の墓に行かないであろう』(1列王記13:21-22)
この言葉は、かの預言者に対して言われたばかりでなく、まさにヤロブアムに対する警告でもあり、そして北イスラエル王国歴代の王たちに対する警告でもあったのだ。
これらの事は、現代の私達に対する警告でもある。
北イスラエル王国の人達は、この預言者の墓を300年見続け、語り継がれ続けていたのに、結局この事から何の戒めを受けず、偶像礼拝という「してはならない飲み食い」を止めずに、滅んでしまった。
私達はこの事に戒めを受けて、してはならない飲み食いを止めるべきなのだ。