メッセージ - 永遠の系図に残る礼拝する民と、消えていく礼拝しない民(1歴代誌1:1-27)
永遠の系図に残る礼拝する民と、消えていく礼拝しない民(1歴代誌1:1-27)
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- 執筆 :
- pastor 2017-7-13 7:05
永遠の系図に残る礼拝する民と、消えていく礼拝しない民(1歴代誌1:1-27)
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バビロン捕囚の後、イスラエルの信仰を復興したエズラが編纂したと言われるこの歴代誌は、系図で始まる。
系図は、イスラエル人にとって、どこに自分のアイデンティティがあるのかの拠り所であり、また系図には、主に依り頼んで栄えた人も、主を軽んじて呪われた人も記されている。
系図はツリー構造であるが、そのツリー(木)の幹にあたる部分と、枝葉にあたる部分があり、歴代誌における「幹」すなわち主人公は、主を礼拝する民、主につながり続けた人達である。それが結果的にユダ族であり、レビ族である。
主を敬い、礼拝を重んじる人々は祝福を受けて栄え、主を軽んじ礼拝を疎かにする民は衰退し、最終的には滅びる。
それこそ、歴代誌が教える重要な教訓である。
おそらく記者であるエズラは、その事を伝えるために、全人類の祖先であるアダムの系図から記し始めた。
1:1 アダム、セツ、エノス、
1:2 ケナン、マハラレル、ヤレド、
1:3 エノク、メトセラ、ラメク、
1:4 ノア、セム、ハム、ヤペテ。
1節から4節のヤペテまでは、接続詞も一切なく、名前だけがそのまま一気に記されている。
この、1−4節は最も根幹的な「幹」にあたり、また5節以降23節までの系図には、名前と次の名前の間に接続詞ワウが挿入され、また、その時代に何が起きたかという説明も所々に挿入されている。
聖書注解を見ると、おそらく「幹」と「枝葉」を区別するためだろう、と言われているが、この、接続詞ワウ無しの名前だけの列挙は、ヘブライ語がわかるユダヤ人には、名前を繋げた事によって浮かび上がって来る意味を読む事が出来る。
ヘブライ語の人名には、それぞれ意味があるのだが、このアダムからノアに至る系図の名前をそのまま列挙して行くと、一つの意味が浮かび上がって来る。
アダムは「人、土」という意味であり、セツは「約束の、授けられた、定着した」という意味、エノシュは「脆い、致命的、悲惨」、ケナンは「悲しみ、哀歌」、マハラルエルは「祝福の神」という意味である。
エレデは「降りてくる」、エノクは「教える、始まる、ささげる」、メトシェラは「彼が死ぬ時、何かが起きる」、レメクは「嘆き、悲しみ」、ノアは「慰め、新しい希望」という意味である。
以上、これらの名前の意味をつなげると、次のようになる。
「人は、約束された(授けられた)。脆さ、致命的な悲惨が。祝福の神は、降りて来て、教え、捧げた。彼が死ぬ時、何かが起きる。嘆き悲しみは、慰められ、新しい希望となる。」
この浮かび上がった意味は、まさしく、イエス・キリストによる人類の救いを表しているではないか。
実は、ユダヤ人が、歴代誌のこのワウ無しの系図を朗読するたびに、そのような意味をも覚えつつ、暗唱しているのだが、イエスキリストを受け入れるユダヤ人がいないのが本当に歯がゆい所である。
続いて系図は、ノアの子ヤペテの子孫になる。
1:5 ヤペテの子らはゴメル、マゴグ、マダイ、ヤワン、トバル、メセク、テラス。
1:6 ゴメルの子らはアシケナズ、デパテ、トガルマ。
1:7 ヤワンの子らはエリシャ、タルシシ、キッテム、ロダニム。
ヤペテはヨーロッパ系の白色人種の祖先と言われており、イスラエルに対しては異邦人であったものの、キリスト以降、福音が最も普及し発展した民族であり、以下の預言はまさに実現した。
「神はヤペテを大いならしめ、セムの天幕に彼を住まわせられるように。カナンはそのしもべとなれ」(創世記9:27)
しかし旧約においては、ヤペテの子孫は全く登場しないため、歴代誌の系図では、わずか3節で終わりとなっている。
たとえ旧約の系図から外されてしまっても、イエスキリストを信じるなら、再び接ぎ木されるのだ。
続いて系図は、ノアの子ハムの子孫となる。
1:8 ハムの子らはクシ、エジプト、プテ、カナン。
1:9 クシの子らはセバ、ハビラ、サブタ、ラアマ、サブテカ。ラアマの子らはシバとデダン。
1:10 クシはニムロデを生んだ。ニムロデは初めて世の権力ある者となった。
1:11 エジプトはルデびと、アナムびと、レハブびと、ナフトびと、
1:12 パテロスびと、カスルびと、カフトルびとを生んだ。カフトルびとからペリシテびとが出た。
1:13 カナンは長子シドンとヘテを生んだ。
1:14 またエブスびと、アモリびと、ギルガシびと、
1:15 ヒビびと、アルキびと、セニびと、
1:16 アルワデびと、ゼマリびと、ハマテびとを生んだ。
このハムの子孫たちは、主を敬わない者達、礼拝を阻害する者達として聖書には記されている。
特にニムロデは、歴代誌において重要な悪役の人物である。このニムロデの子孫によって神の民は散らされ、神殿は破壊され、バビロン捕囚に遭い、そうして歴代誌は閉じられるからだ。
主を敬う民に対し、主を蔑む民もいる。カナン人やペリシテ人もそうである。
主の民が、主を敬わない事を続けてしまうと、神は彼らを用いて主の民を懲らしめ、なおも主に従わない事を続けていると、最終的には約束の地から吐き出されてしまうのだ。
続いて、セムの子孫について記されている。歴代誌の系図の本流は、神の民・セムの子孫である。
1:17 セムの子らはエラム、アシュル、アルパクサデ、ルデ、アラム、ウズ、ホル、ゲテル、メセクである。
1:18 アルパクサデはシラを生み、シラはエベルを生んだ。
1:19 エベルにふたりの子が生れた。ひとりの名はペレグ――彼の代に地の民が散り分れたからである――その弟の名はヨクタンといった。
1:20 ヨクタンはアルモダデ、シャレフ、ハザル・マウテ、エラ、
1:21 ハドラム、ウザル、デクラ、
1:22 エバル、アビマエル、シバ、
1:23 オフル、ハビラ、ヨバブを生んだ。これらはみなヨクタンの子である。
ここではエベルから枝分かれしたヨクタンの子孫が記されたが、24節以降27節までは、再び、接続詞ワウなしの名前の列挙となる。
すなわち、系図の本流である。
1:24 セム、アルパクサデ、シラ、
1:25 エベル、ペレグ、リウ、
1:26 セルグ、ナホル、テラ、
1:27 アブラムすなわちアブラハムである。
こうして、信仰の先祖、アブラハムまでの系図がつながった。
主を敬う信仰の人、礼拝する人こそ、人間のファミリーツリーの中で幹となって、栄えて行く者、永遠に残る者である。
私達は、主を敬い、礼拝する民、永遠に残る民として、歩むべきだ。