メッセージ - イスラエル王国分断という重大事件と、そのまことにくだらなかった発端(2歴代誌10:3-19)
イスラエル王国分断という重大事件と、そのまことにくだらなかった発端(2歴代誌10:3-19)
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- 執筆 :
- pastor 2018-1-3 7:49
イスラエル王国分断という重大事件と、そのまことにくだらなかった発端(2歴代誌10:3-19)
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今回の箇所で、イスラエルは大きな暗転を迎える。
現代も、今回の箇所の影響が、ずっと続いている。
その暗転とは、イスラエル王国の分裂であり、そのきっかけは、まことにくだらないものであった。
10:3 人々は人をつかわして彼を招いた。そこでヤラベアムとすべてのイスラエルは来て、レハベアムに言った、
10:4 「あなたの父は、われわれのくびきを重くしましたが、今あなたの父のきびしい使役と、あなたの父が、われわれに負わせた重いくびきを軽くしてください。そうすればわたしたちはあなたに仕えましょう」。
10:5 レハベアムは彼らに答えた、「三日の後、またわたしの所に来なさい」。それで民は去った。
ソロモンは、その統治の前半すなわち主に聞き従っていた間は、とても祝福されていた。
1列王記4:20 ユダとイスラエルの人々は多くて、海べの砂のようであったが、彼らは飲み食いして楽しんだ。
4:21 ソロモンはユフラテ川からペリシテびとの地と、エジプトの境に至るまでの諸国を治めたので、皆みつぎ物を携えてきて、ソロモンの一生のあいだ仕えた。
4:22 さてソロモンの一日の食物は細かい麦粉三十コル、荒い麦粉六十コル、
4:23 肥えた牛十頭、牧場の牛二十頭、羊百頭で、そのほかに雄じか、かもしか、こじか、および肥えた鳥があった。
4:24 これはソロモンがユフラテ川の西の地方をテフサからガザまで、ことごとく治めたからである。すなわち彼はユフラテ川の西の諸王をことごとく治め、周囲至る所に平安を得た。
王宮で1日で費やされる食料は膨大なものだが、しかしそれでもなお国民は潤い豊かだったので、王宮に貢ぐ税金は膨大であったとしても、全然問題にならなかった。
しかしソロモンの人生の後半、彼は主に聞き従わなくなり、当然、産物はとれなくなり、しかし重税だけは変わらず、そうして民は、重税にあえいでいたのだ。
それで、人望の厚いヤロブアムを通して、人々はその税金を下げてもらおうと思って来たのだ。
10:6 レハベアム王は父ソロモンの存命中ソロモンに仕えた長老たちに相談して言った、「あなたがたはこの民にどう返答すればよいと思いますか」。
レハブアムはまず、ソロモンの存命中にソロモンに使えていた長老たちに聞いた。
この後のレハブアムの記述を見るとわかるが、彼は色々と問題のある者だった。なぜ彼が王になってしまったのか。おそらく、ソロモンが亡くなったのがキュウで、彼が王として選ばれたのも、慌ただしかったのかもしれない。あるいは、ソロモンに沢山いたであろう子供達の中で、彼がもっともまともだったのかもしれない。
ともかく、偶像礼拝に走ってしまったソロモンは、多くの災いを国にもたらしてしまった。
10:7 彼らはレハベアムに言った、「あなたがもしこの民を親切にあつかい、彼らを喜ばせ、ねんごろに語られるならば彼らは長くあなたのしもべとなるでしょう」。
列王記の並行箇所では、長老たちはレハブアムに、「民のしもべとなって彼らに仕えるなら、彼らは永遠にあなたのしもべとなる」と助言している。(1列王記12:5-7)
この長老たちの助言は、非常に正しい。なぜならイエス様も同じ事を言っているからだ。
『あなたがたの知っているとおり、異邦人の支配者と見られている人々は、その民を治め、また偉い人たちは、その民の上に権力をふるっている。しかし、あなたがたの間では、そうであってはならない。かえって、あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、仕える人となり、あなたがたの間でかしらになりたいと思う者は、すべての人の僕とならねばならない。人の子がきたのも、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また多くの人のあがないとして、自分の命を与えるためである。』(マルコ10:42-45)
暴力や荒々しい言葉で人を威圧し制するのは、異邦人の手法である。神の民の王たる者は、みなに仕える姿勢であるべきなのだ。
しかしレハブアムは、それ良しとはしなかった。
10:8 しかし彼は長老たちが与えた勧めをすてて、自分と一緒に大きくなって自分に仕えている若者たちに相談して、
10:9 彼らに言った、「あなたがたは、この民がわたしに向かって、『あなたの父上が、われわれに負わせたくびきを軽くしてください』と言うのに、われわれはなんと返答すればよいと思いますか」。
10:10 彼と一緒に大きくなった若者たちは彼に言った、「あなたに向かって、『あなたの父は、われわれのくびきを重くしたが、あなたは、それをわれわれのために軽くしてください』と言ったこの民に、こう言いなさい、『わたしの小指は父の腰よりも太い、
10:11 父はあなたがたに重いくびきを負わせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを重くしよう。父はむちであなたがたを懲らしたが、わたしはさそりであなたがたを懲らそう』」。
「わたしの小指は父の腰よりも太い」とは、自分は父なんかよりもっと大いなる者だ、という事である。
「若者たち(イェラーディーム)」は子供達、ボーイ、といった意味で、ようするに未熟者である。レハブアムは長老達の言葉を退け、彼らに相談した。
彼らはこの言葉から分かる通り、思慮も知恵も無い、ただノリと勢いだけの直情的な者達であった。レハブアムとしては、彼らと話すほうが楽しかったのだろう。
レハブアムが彼らの意見のほうを採用する、という事は、レハブアムの気質もまた彼らと同じなのである。
10:12 さてヤラベアムと民は皆、王が「三日目にわたしのところに来なさい」と言ったとおりに、三日目にレハベアムのところへ行った。
10:13 王は荒々しく彼らに答えた。すなわちレハベアム王は長老たちの勧めをすて、
10:14 若者たちの勧めに従い、彼らに告げて言った、「父はあなたがたのくびきを重くしたが、わたしは更にこれを重くしよう。父はむちであなたがたを懲らしたが、わたしはさそりであなたがたを懲らそう」。
彼は、新しい王として、荒々しく大上段から言い放った瞬間は、さぞやスカッとしただろう。
しかし、その一瞬のスカッとする爽快感の代償は、とてつもなく大きなものだった。
荒々しい暴言のたった一言が、長年築き上げて来た信頼関係を壊し、家庭を壊し、国を壊してしまう。
ヤロブアムの、このたった一言が、イスラエルを二分し、現代も、彼のこの言葉の影響ゆえに、イスラエルは今なお失われた10部族がどこにいるのか分からない状態にある。
10:15 このように王は民の言うことを聞きいれなかった。これは主が、かつてシロびとアヒヤによって、ネバテの子ヤラベアムに言われた言葉を成就するために、神がなされたのであった。
主は、無意味に人の心を操作して国を分断したりはしない。そのような事を主は望んでおられない。
ただ、主に立ち返らないダビデの家を懲らしめ、主に立ち返るようにするために、あえてこの事を起こされたのだ。
ただ、人が欲望を遂げるために、人を何とも思わないような人間に対し、また、忠告を何度しても聞かないような人に対して、主はさらに良くない思いへと引き渡し、自滅して行くに任せられるのだ(ローマ1:28-31)。
10:16 イスラエルの人々は皆、王が自分たちの言うことを聞きいれないのを見たので、民は王に答えて言った、/「われわれはダビデのうちに何の分があろうか。われわれはエッサイの子のうちに嗣業がない。イスラエルよ、めいめいの天幕に帰れ。ダビデよ、今あなたの家を見よ」。そしてイスラエルは皆彼らの天幕へ去って行った。
10:17 しかしレハベアムはユダの町々に住んでいるイスラエルの人々を治めた。
10:18 レハベアム王は徴募人の監督であったアドラムをつかわしたが、イスラエルの人々が石で彼を撃ち殺したので、レハベアム王は急いで車に乗り、エルサレムに逃げた。
10:19 こうしてイスラエルはダビデの家にそむいて今日に至った。
今日に至った、と記されているが、その今日はエズラの時代のみならず、エズラの時代からさらに2000年以上経った今さえも、そうである。
その発端は、状況だけを見るなら実にくだらない事であったが、その根底には、主に従わないソロモンの頑なさ、欲望への執着が元だった。
私達は御言葉に従う者、仕える者の姿勢を取って、さいわいな、祝福された人生を歩む者でありたい。