エゼキエル書講解説教
マゴクとゴグによるイスラエル包囲(エゼキエル37:15-28)
36-37章では、全世界に散らばったイスラエルの民が、帰還し復興する事が語られ、そして、
まことのダビデであるイエス・キリストが、羊飼いとして牧する事が示された。
続く40章以降では、新しい神殿の幻が示される。
しかし、それにはさまる形で、神の民はなお、敵対する強大な勢力に囲まれ攻撃される事が、預言されている。
しかし最終的には、主ご自身が、それらの敵を圧倒的に一掃し、主の民を救って下さり、結局、主の栄光と力が大いに示される。
38:1 主の言葉がわたしに臨んだ、
38:2 「人の子よ、メセクとトバルの大君であるマゴグの地のゴグに、あなたの顔を向け、これに対して預言して、
38:3 言え。主なる神はこう言われる、メセクとトバルの大君であるゴグよ、見よ、わたしはあなたの敵となる。
ここにマゴクとゴグが登場した。
それは、ヨハネの黙示録20章にも登場する。
20:7 千年の期間が終ると、サタンはその獄から解放される。
20:8 そして、出て行き、地の四方にいる諸国民、すなわちゴグ、マゴグを惑わし、彼らを戦いのために召集する。その数は、海の砂のように多い。
ゴグとマゴク、これらの国々は、一体どこだろう。
それは、イスラエルから見て「北の果てにある国々」と、エゼキエル38:15に書いてある。
だから、それはイスラエルの周辺諸国ではなく、もっと遠くの、北の国という事で、特にロシアと見られている。
なお、日本語訳で「メセクとトバルの大君」の「大君」は、ヘブライ語ではロシュという語で、「頭」とか「リーダー」という意味であるが、それはNKJVやASV、文語訳では、固有名詞「ロシュ(ロシ)」と訳されている。
文語訳:「ロシ、メセクおよびトバルの君たるマゴグの地の王ゴグ」
ロシュはロシアを、メシェクはモスクワを示している、とするなら、地理的にも、地名的にも、一致している。
それがイスラエルに、多くの連合国を連れて、大軍で攻め寄せてくるのだ。
38:4 わたしはあなたを引き回し、あなたのあごに鉤をかけ、あなたと、あなたの全軍勢を出陣させる。それはみな武装した馬や騎兵、大盾と盾を持ち、みな剣を取る大集団だ。
38:5 ペルシヤとクシュとプテも彼らとともにおり、みな盾とかぶとを着けている。
38:6 ゴメルと、そのすべての軍隊、北の果てのベテ・トガルマと、そのすべての軍隊、それに多くの国々の民があなたとともにいる。
38:7 備えをせよ。あなたも、あなたのところに集められた全集団も備えをせよ。あなたは彼らを監督せよ。
ペルシヤは今のイラン、クシュはエチオピヤ、プテはリビヤである。
ゴメルはカッパドキア、ベテ・トガルマはアルメニアと考えられている。
38:8 多くの日が過ぎて、あなたは命令を受け、終わりの年に、一つの国に侵入する。その国は剣の災害から立ち直り、その民は多くの国々の民の中から集められ、久しく廃墟であったイスラエルの山々に住んでいる。その民は国々の民の中から連れ出され、彼らはみな安心して住んでいる
まさに現在のイスラエルが、それに近いだろう。
イスラエルは久しく廃墟だったが、剣の災害から立ち直り、国々から連れ出され、
1948年、イスラエルが独立宣言した。
その直後、周囲の諸国が攻めて来て、第一次中東戦争や六日戦争など、危機的状況に陥ったが、いずれも、イスラエルが勝利した。
私達・異邦人から見れば、イスラエルはまだまだ「安心して住んでいる」とは見えないかもしれないが、本人達としたら、20世紀に比べて、遥かに安心して住んでいるし、これから後、さらに同盟を結ぶなどして平安になって行く事も大いにありうる。
しかしやがて、北の国々が連合し、大軍をもってイスラエルを囲む事になる。
38:9 あなたは、あらしのように攻め上り、あなたと、あなたの全部隊、それに、あなたにつく多くの国々の民は、地をおおう雲のようになる。
黙示録16章には、終わりの時代の戦争において、ユーフラテス川が枯れて、王たちは軍隊を率いて、その渇いた所を通り、ハルマゲドンと呼ばれる所に終結する事が書かれてある。
ハルマゲドンの意味は「メギドの山」であり、軍隊が召集される広い平地(黙示録20:9)は、カルメル山の裾野に広がっているメギドの平野であると思われる。
そこは、エジプトから東方トルコへと通じ、ヨーロッパからエジプトへと行く道の要所で、歴史的に戦争が多かった地である。
38:10 神である主はこう仰せられる。その日には、あなたの心にさまざまな思いが浮かぶ。あなたは悪巧みを設け、
38:11 こう言おう。『私は城壁のない町々の国に攻め上り、安心して住んでいる平和な国に侵入しよう。彼らはみな、城壁もかんぬきも門もない所に住んでいる。』
38:12 あなたは物を分捕り、獲物をかすめ奪い、今は人の住むようになった廃墟や、国々から集められ、その国の中心に住み、家畜と財産を持っている民に向かって、あなたの腕力をふるおうとする。
北からの軍隊が、イスラエルを攻めようとする動機は、イスラエルはその時、とても肥沃で潤った地となり、経済的にも潤った国として彼らの目に映り、しかも、無防備で、攻めこみやすい地、として映るからだ。
38:13 シェバやデダンやタルシシュの商人たち、およびそのすべての若い獅子たちは、あなたに聞こう。『あなたは物を分捕るために来たのか。獲物をかすめ奪うために集団を集め、銀や金を運び去り、家畜や財産を取り、大いに略奪をしようとするのか。』と。
周辺の国々は、北の国々がイスラエルを攻め込んで来る事を驚き、咎める。
確かに、2021年現在の情勢では、ロシアがイスラエルを攻め込む理由など全く考えられないし、それはあまりに突飛な事と思える。
しかし今後、どういう情勢になるのか、私達には分からないにしても、やがて、その事は起きる。
なぜならサタンが、ゴグとマゴグを惑わし、彼らを戦いのために召集するようにさせる、と書いてあるからである。(黙示録20:8)
38:14 それゆえ、人の子よ、預言してゴグに言え。神である主はこう仰せられる。わたしの民イスラエルが安心して住んでいるとき、実に、その日、あなたは奮い立つのだ。
38:15 あなたは、北の果てのあなたの国から、多くの国々の民を率いて来る。彼らはみな馬に乗る者で、大集団、大軍勢だ。
38:16 あなたは、わたしの民イスラエルを攻めに上り、終わりの日に、あなたは地をおおう雲のようになる。ゴグよ。わたしはあなたに、わたしの地を攻めさせる。それは、わたしがあなたを使って諸国の民の目の前にわたしの聖なることを示し、彼らがわたしを知るためだ。
私達が注目すべきは、主は、主の民が取り囲まれ、滅ぼされるのを、みすみす見過ごすような事はしない、という事だ。
なぜ神は、神の民の敵を、つけあがらせ、神の民を取り囲む事を、許されるのか。
それは、「諸国の民の目の前に、主の聖なることを示し、彼らが主を知るため」である、と書いてある。
ちょうど出エジプトの時、エジプトの横暴を、敢えて許可し、そのエジプトから神の民を救い出す事によって、主が、当時の世界において、圧倒的な栄光を受け取られたように。
38:17 神である主はこう仰せられる。あなたは、わたしが昔、わたしのしもべ、イスラエルの預言者たちを通して語った当の者ではないか。この預言者たちは、わたしがあなたに彼らを攻めさせると、長年にわたり預言していたのだ。
この事が起きる、と、エゼキエル書や黙示録に、確かに預言された事を、現代の私達は見る事ができる。。
今や、世界中の人が手にとって読める、世界のベストセラー・聖書である。
世界中の人々が、あらかじめ、この事が起きる、と、かなり具体的に読んだ。
啓示録にも書いてある。
20:7 千年の期間が終ると、サタンはその獄から解放される。
20:8 そして、出て行き、地の四方にいる諸国民、すなわちゴグ、マゴグを惑わし、彼らを戦いのために召集する。その数は、海の砂のように多い。
20:9 彼らは地上の広い所に上ってきて、聖徒たちの陣営と愛されていた都とを包囲した。すると、天から火が下ってきて、彼らを焼き尽した。
20:10 そして、彼らを惑わした悪魔は、火と硫黄との池に投げ込まれた。そこには、獣もにせ預言者もいて、彼らは世々限りなく日夜、苦しめられるのである。
そうであるからには、これらの預言が、自分に当てはまりそうな国々や人々は、気をつけて、自分が滅びないように、イスラエルに攻め込まないように気をつけてもいいはずである。
(なお、ロシアのプーチン大統領は今でも、エゼキエル38章を開いていて、これは自分達のことについて書かれてある事を肝に銘じている、と、コーエン韓国の授業で聞いた。)
それにもかかわらず、悪辣な者達は、神の民にちょっかいを出したがるのである。
それは、彼らが、書かれてある事を信じないからであり、また、サタンが、彼らの神に対する恐れを、麻痺させるからである。
38:18 ゴグがイスラエルの地を攻めるその日、――神である主の御告げ。――わたしは怒りを燃え上がらせる。
38:19 わたしは、ねたみと激しい怒りの火を吹きつけて言う。その日には必ずイスラエルの地に大きな地震が起こる。
38:20 海の魚も、空の鳥も、野の獣も、地面をはうすべてのものも、地上のすべての人間も、わたしの前で震え上がり、山々はくつがえり、がけは落ち、すべての城壁は地に倒れる。
終わりの時代に大地震が起こって、神に敵対する者達を脅かす事は、黙示録でも複数箇所に記されている。(8:5, 11:13,19, 16:18)
38:21 わたしは剣を呼び寄せて、わたしのすべての山々でゴグを攻めさせる。――神である主の御告げ。――彼らは剣で同士打ちをするようになる。
38:22 わたしは疫病と流血で彼に罰を下し、彼と、彼の部隊と、彼の率いる多くの国々の民の上に、豪雨や雹や火や硫黄を降り注がせる。
敵同士を剣で同士討ちさせる事は、主の、敵を滅ぼす常套手段であり、疫病や豪雨、雹や火や硫黄は、主のさばきの手段である。
結論として、これら全ての事を通して、主が栄光をお受けになるのである。
38:23 わたしがわたしの大いなることを示し、わたしの聖なることを示して、多くの国々の見ている前で、わたしを知らせるとき、彼らは、わたしが主であることを知ろう。」
イスラエルも、また私達も、神様から祝福されると、何かと「自分の力でやった」と高慢になりやすい。
そのような時、神様は、どうにもこうにもできない絶望的な状況へと陥れ、もはや助けを求めるのは神様しかいない、という、ぎりぎりの状況へと持ち込み、そこに、主が、人には思いもよらない、主がして下さったとしか言いようが無いような、奇跡的な助けの手を差し伸べ、そうして、否が応でも、主があがめられる、という事を、なさるのである。
本当に、私達は、はじめから高慢になったりせずに、いつも主に栄光を捧げ、絶えず感謝を捧げる者であるべきである。