メッセージ - 伝道者の書概要(伝道者1:1-3)
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【概要】
伝道者の書の学びを始め、その背景と主題である「空の空」について解説しています。
【聖書箇所】
伝道者の書1章1-3節
第一列王記3章、11章
詩篇127篇
コロサイ人への手紙2章8-10節
【励ましの言葉】
キリストにあって私たちは満ち満ちており、虚しさから解放された喜びと祝福の人生を歩むことができます。
【戒めの言葉】
神様から離れ、この世の知恵や富だけを追い求めることの虚しさと危険性を警告しています。
【＊＊＊詳細＊＊＊】
伝道者の書の学びが始まりました。この書は、「空の空、すべては空」というフレーズで知られる、聖書の中でも特異な書物です。
まず、伝道者の書1章1-3節を見てみましょう。
エルサレムの王、ダビデの子、伝道者の言葉。空の空、伝道者は言う。空の空、すべては空。日の下でどんなに労苦しても、それが人に何の益になろう。
この「空」（むなしい）という言葉は、へブル語で「ヘーベル」と言い、旧約聖書全体で64回使われていますが、そのうち38回もこの伝道者の書で使用されています。これは、伝道者の書の主題が「むなしさ」であることを示しています。
しかし、ここで注目すべきは「日の下で」という表現です。これは「この世において」という意味であり、神様を除いた世界での労苦の虚しさを語っているのです。
では、なぜこのような虚しさに満ちた書が聖書に含まれているのでしょうか。それを理解するために、この書の著者とされるソロモンの人生を振り返ってみましょう。
第一列王記3章を見ると、若いソロモンは神を愛し、父ダビデの掟に従って歩んでいました。神は彼に何でも欲しいものを願うように言いましたが、ソロモンは自分のために長寿や富を求めず、民を正しく治めるための知恵を求めました。神はこれを喜び、知恵だけでなく富と誉れも与えました。
「見よ、私はあなたに知恵の心と判断する心とを与える。あなたの先にあなたのようなものはなく、後にもあなたのようなものは起こらない。」（第一列王記3:12）
しかし、第一列王記11章を見ると、ソロモンの晩年の姿は大きく変わっていました。
「ソロモン王は、パロの娘のほかに多くの外国の女を愛した。...彼には700人の王妃と300人の側室があった。その妻たちが彼の心を転じた。ソロモンが年をとったとき、その妻たちが彼の心を他の神々の方へ向けたので、彼の心は父ダビデの心とは違って、彼の神、主と全く一つにはなっていなかった。」（第一列王記11:1-4）
ソロモンは神から離れ、偶像礼拝さえも行うようになりました。その結果、神の怒りを買い、王国は分裂することになります。
このようなソロモンの人生の軌跡を踏まえて伝道者の書を読むと、この書が神から離れた人間の知恵の限界を示していることがわかります。人類史上最も知恵のあった人物でさえ、神なしでは「空の空」という結論に至るのです。
ここから私たちが学ぶべき教訓は明確です。どんなに知恵や富があっても、それだけでは真の満足や人生の意味は見出せないということです。イエス・キリストを抜きにした人生は、結局のところ虚しさに行き着くのです。
これは、コロサイ人への手紙2章8-10節の言葉とも呼応しています。
「この虚しい欺きの哲学によって、誰かの虜にならないように気をつけなさい。そのようなものは、人間の伝統や、この世の幼稚な教えに基づくものであって、キリストに基づくものではありません。キリストのうちには、神性の完全さがすべて宿っているのです。そして、あなたがたは、キリストにあって満たされているのです。」
つまり、伝道者の書は、人間の知恵の限界を示すことで、逆説的に神の知恵とキリストの必要性を明らかにしているのです。
私たちがこの書から学ぶべきことは、世俗的な成功や知識の蓄積だけを追い求めることの危険性です。代わりに、キリストにある豊かさと満足を求めるべきです。詩篇127篇が教えるように、「主が家を建てるのでなければ、建てる者の労苦はむなしい」のです。
【結論】
伝道者の書は、神なき人生の虚しさを描くことで、逆に神と共に歩む人生の価値を浮き彫りにしています。私たちは、この世の知恵や富に頼るのではなく、キリストにあって満たされた人生を歩むべきです。そうすることで、真の意味と目的を見出し、喜びと祝福に満ちた人生を送ることができるのです。
