メッセージ - 好んで悪に加担する者達に殺されそうになった時にダビデが宣言した祈り(詩篇59篇)
好んで悪に加担する者達に殺されそうになった時にダビデが宣言した祈り(詩篇59篇)
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- 執筆 :
- pastor 2020-5-18 15:39
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詩篇59篇表題「聖歌隊の指揮者によって、「滅ぼすな」というしらべにあわせてうたわせたダビデのミクタムの歌。これはサウルがダビデを殺そうとして人をつかわし、その家をうかがわせたときダビデのよんだもの」
この時の状況は、1サムエル記19章11節以降に記されている。
ダビデはサウルの元で仕え、戦争の時は千人隊長として真っ先に敵陣に突入して勝利をもたらし、平時はサウルの元で立琴を弾いていたが、サウルは妬みにかられ、悪霊に憑かれて、ダビデに槍を投げた。
ダビデは槍を逃れて、妻ミカルがいる家に逃げ帰ったが、サウルは使者をその家に遣わし、夜があけたらダビデを殺そうとしていた、まさにその夜の状況を、ダビデは詩篇に編纂し、後にダビデが王になった時、聖歌隊にこれを歌わせ、主を賛美した。
詩篇の順番は、時系列ではなく、内容順にまとめられており、特に51篇以降、ダビデが「自分自身の罪」という敵に、あるいはサウルやペリシテ人など、あらゆる外的な敵によって苦しめられた時、それらに対し、いかに主と共に克服して行ったかが記されている。
ダビデが危機に陥る都度、彼は主を叫び求め、祈り、そうして心の平安と、そして実際的な助けを得て行った。
これらの詩篇は、全て私たち主の民に対するメッセージであり、私たちも危機的状況に陥った時、どのような祈りをすればよいか、また、主はどのような危機から解決して下さるかを、知る事が出来る。
59:1 わが神よ、どうかわたしをわが敵から助け出し、わたしに逆らって起りたつ者からお守りください。
59:2 悪を行う者からわたしを助け出し、血を流す人からわたしをお救いください。
わが神(エロハイ)の呼びかけによって、この詩が始まる。
いのちを付け狙う者が目の前にせまっていて、今にも殺されそうな時、ダビデは神を「わが」と呼び、神は自分のもの、と宣言した。
私たちもこれを習うべきである。
神は、すべてより頼む者を助けて下さる。
神は、私たちと関係無き存在ではなく、私たちと関係される存在、そして、私の拠り所、と宣言するなら、主が本当に直接関わって下さる。
59:3 見よ、彼らはひそみかくれて、わたしの命をうかがい、力ある人々が共に集まってわたしを攻めます。主よ、わたしにとがも罪もなく、
59:4 わたしにあやまちもないのに、彼らは走りまわって備えをします。わたしを助けるために目をさまして、ごらんください。
ダビデがいのちを付け狙う者達に囲まれているのは、ダビデが悪い事をしたからではなかった。
彼はただ、サウル王の元で、神と、神の民イスラエルに、純粋に仕えていただけだった。
しかしサウルは、ダビデの活躍をねたみ、ダビデは命を狙われる事になってしまった。
そこでダビデは、主に、「目」を用いて、この状況を見てください、と願い求めた。
正しい事が行われていない現状です、自分は殺される事などしていないのに、不当にも命が奪われようとしています、と。
私たちも、主に願い求めるのだ。
主よ、どうか今のこの状況をご覧になって下さい!と。
59:5 万軍の神、主よ、あなたはイスラエルの神です。目をさまして、もろもろの国民を罰し、悪をたくらむ者どもに、あわれみを施さないでください。〔セラ
「もろもろの国々」と訳された語「ゴイーム」は、群生する獣やいなごが元々の意味で、特に、主を知らない異邦の者達のことをいう。
敢えて好き好んで、悪に加担する者達を罰してください、とダビデは主に願う。
その者達が、以下の意図をもって悪を行っているからだ。
59:6 彼らは夕ごとに帰ってきて、犬のようにほえて町をあさりまわる。
59:7 見よ、彼らはその口をもってほえ叫び、そのくちびるをもってうなり、「だれが聞くものか」と言う。
彼らは、口で(言葉で)、多くの罪を犯しているのだ。
「だれが聞くものか」。
これは、「神はいない」という人生観で、誰も見ていない所では、どんな悪い事を犯してもいい、と思い込んでいる人々だ。
そのような者達には、主が生きておられる事、主は決して嘲られるお方ではない、という事を、知るべきだ。
そのために、ダビデは以下のように祈る。
59:8 しかし、主よ、あなたは彼らを笑い、もろもろの国民(ゴイーム)をあざけり笑われる。
59:9 わが力よ、わたしはあなたにむかってほめ歌います。神よ、あなたはわたしの高きやぐらです。
59:10 わが神はそのいつくしみをもって/わたしを迎えられる。わが神はわたしに敵の敗北を見させられる。
ダビデは宣言した。
自分は、彼らが軽んじた主が「わが」力である、そして主は、主をないとする者達(ゴイーム)をあざける、と。
さらに主は、ダビデを襲う者達の敗北を見させて下さると。
なぜなら彼らは、何も悪い事をしていないダビデを、不当に追い回し、いのちを奪おうとしており、対してダビデは、主が「わが神、わが避けどころ」と宣言した。主の軍配は、確実に、ダビデに上がるのだ。
59:11 どうぞ、わが民の忘れることのないために、彼らを殺さないでください。主、われらの盾よ、み力をもって彼らをよろめかせ、彼らを倒れさせないでください。
59:12 彼らの口の罪、そのくちびるの言葉のために/彼らをその高ぶりに捕われさせてください。彼らが語るのろいと偽りのために
59:13 憤りをもって彼らを滅ぼし、もはやながらえることのないまでに、彼らを滅ぼしてください。そうすれば地のはてまで、人々は神がヤコブを治められることを/知るに至るでしょう。〔セラ
彼らのように、悪辣な事を平気でする者達が、あまりにも速やかに滅びるとするなら、人々は、すぐに忘れてしまうため、むしろ人々が忘れないように、敢えて彼らが長くさまようようになって、人々がそれを見る時、「確かに悪者はこうなるのだ」「主は確かに生きておられる」と、知るように、とダビデは願った。
義であられる主は、主に逆らって悪を行う者達に、災いを降す事によっても、栄光をお受けになるのだ。
59:14 彼らは夕ごとに帰ってきて、犬のようにほえて町をあさりまわる。
59:15 彼らは食い物のためにあるきまわり、飽くことを得なければ怒りうなる。
「うなる」と訳された語の元の意味は「とどまる」「ずっとそこにいる」事をあらわしている。
ダビデを狙っていた者は、その晩、一晩中ずっとダビデの家の外で待ち伏せ、夜が明けたらダビデを捕縛して殺そうとしていた。
しかし、ミカルがダビデを窓から吊り降ろして助けてくれたので、ダビデは主の守りの内に逃げる事が出来た。
59:16 しかし、わたしはあなたのみ力をうたい、朝には声をあげてみいつくしみを歌います。あなたはわたしの悩みの日にわが高きやぐらとなり、わたしの避け所となられたからです。
59:17 わが力よ、わたしはあなたにむかってほめうたいます。神よ、あなたはわが高きやぐら、わたしにいつくしみを賜わる神であられるからです。
彼は最後、主への喜びの賛美でこの詩を閉じる。
どんなに敵が夕に攻めて来て、一晩中、犬のようにうろつきまわっても、朝には主の守りと平安が来るからだ。
彼は主をやぐらとし、助けとした。
そのような人に対し、主はどのように扱って下さるか。
詩篇91篇に記されている。
91:1 いと高き者のもとにある/隠れ場に住む人、全能者の陰にやどる人は
91:2 主に言うであろう、「わが避け所、わが城、わが信頼しまつるわが神」と。
91:3 主はあなたをかりゅうどのわなと、恐ろしい疫病から助け出されるからである。
91:4 主はその羽をもって、あなたをおおわれる。あなたはその翼の下に避け所を得るであろう。そのまことは大盾、また小盾である。
91:5 あなたは夜の恐ろしい物をも、昼に飛んでくる矢をも恐れることはない。
91:6 また暗やみに歩きまわる疫病をも、真昼に荒す滅びをも恐れることはない。
91:7 たとい千人はあなたのかたわらに倒れ、万人はあなたの右に倒れても、その災はあなたに近づくことはない。
91:8 あなたはただ、その目をもって見、悪しき者の報いを見るだけである。
91:9 あなたは主を避け所とし、いと高き者をすまいとしたので、
91:10 災はあなたに臨まず、悩みはあなたの天幕に近づくことはない。
91:11 これは主があなたのために天使たちに命じて、あなたの歩むすべての道で/あなたを守らせられるからである。
91:12 彼らはその手で、あなたをささえ、石に足を打ちつけることのないようにする。
91:13 あなたはししと、まむしとを踏み、若いししと、へびとを足の下に踏みにじるであろう。
91:14 彼はわたしを愛して離れないゆえに、わたしは彼を助けよう。彼はわが名を知るゆえに、わたしは彼を守る。
91:15 彼がわたしを呼ぶとき、わたしは彼に答える。わたしは彼の悩みのときに、共にいて、彼を救い、彼に光栄を与えよう。
91:16 わたしは長寿をもって彼を満ち足らせ、わが救を彼に示すであろう。